レビュー:DIRECTORS LABEL スペシャル・トリプル・パック
あ、そうそう発売日に届いたので土日使って見たのだけどイノセンスとかも見に行ったりもしてたので、すっかりレビューが遅くなりました。
海外版は早い段階で手に入れることが可能だったのですが、日本語版を待っていて正解でした。特にミシェル・ゴンドリーのブックレットは素晴らしいです。これが読めると読めないとではまったく面白さが違ってくると思います。
3本ざっと見て思ったことは
・ミシェル = 脳天気な天才
・スパイク = 苦悩するアイデアマン
・クリス = イカレたテクノっ子
という印象。ブックレットの中身を読むとスパイクもクリスも、ミシェルのことを、「とてもかなわない相手」だと思っているようで、ビョーク関係の仕事は、当然ミシェルの仕事と比べられてしまうので、本当はやりたくなかったと告白しています。
3本の中で圧倒的なのはやはりミシェルの作品です。
作品数も内容も、他の2本がおまけに見えるほど充実していて、このDVDに対するミシェルの入れ込みようと、サービス精神が伺えます。オープニングやメインメニューでさえもクスクス笑ってしまう楽しい演出がなされています。
一番感動したのは先にも述べましたが、特典のブックレットで、ミシェルの子供時代、教師が黒板に長い直線を描いて、そのまま教室から出て行ってしまったという「永遠について」の話や、キルスティン・ダンストに「あなたに裸は見せられない」といわれて傷ついた「女の子について」の話など、どれも興味深く、まるでポエムのような、本当にミシェルらしい、かわいらしいエピソードがたくさん書かれています。
もしこれからこのDVDを買おうと考えている方がいるなら断然ミシェル・ゴンドリーのものをおすすめします。幾何学的で、永遠で、本当に手品を見ているような映像です。
逆にがっかりしたのはクリスのDVDで、期待したほど中身がありませんでした。まあ今まで彼のことはほとんどわからなかったのでブックレットで元とった気はしますが、単品ではそんなに買うほどでもないかなという感じ。もちろん彼の作品を初めて見る人にとっては腰の抜けるような映像でしょうからそこはフォローしておきます。
ブックレットを読んでびっくりしたことに、彼は日本のマンガには興味がないらしいんですよ。
ビョークのPV、「All is full of love」は絶対に攻殻機動隊のオープニングのパクリだと思っていたのに違ったのかと不思議に思いました。
クリスのことを狂気の青年と書いたのはブックレットに描かれた彼の絵画がかなりイカレている(性器、飛び出た眼球、奇形様の人体などがからみあっている薄気味の悪い絵画)のと、自分の作品が他人に不快感を与える可能性についてみじんも意に介していない様子であることからです(実際彼の作品は多数放送禁止になっています)。
もうちょっと繊細な人かと思っていましたが、すごく性格悪そうでした(わらい)。そのくらいでないとああいう映像は作れないのかも知れませんが。
ブックレットも作品も性格も真っ黒なクリスと比べると、スパイクは人柄、作品ともいたって人間的なのでとても好感がもてます。
出演者のクリストファー・ウォーケンがあまりに無表情なので困った話や、ワイヤーアクションのスタッフがダメダメで本気で泣きそうになったなど、「わかるなあ」という感じ。その普通な人ぶりが逆に作品もちょっと常識的な範囲に押しとどめているような気がして、ミシェルと比べるとどうしてもあと一歩な気がしました。
スパイクの作品に対して出演者が音声解説をつけてくれているのが面白かったです。
【Directors Label感想リンク】
●はてなダイアリー - MUSIC-VIDEODROME
・Sジョーンズ、Mゴンドリー、Cカニンガムインタビュー
・SPIKE JONZE BEST SELECTION
・CHRIS CUNNINGHAM BEST SELECTION
・MICHEL GONDRY BEST SELECTION
素晴らしい内容の濃さです。いつもdoyさんの日記を読むとMTVや衛星放送を見れる環境がうらやましくなってしょうがありません。
●SATEBON.com
・SATEBON.com What's Up Archive
DVDをすごく安く買ったそうですがどこなんでしょう?SATEBONさんのフィルムレビューも量、質ともに濃いのでいつも見させていただいています。
---追記
このDVDに対する興味深い指摘が寄せられましたので掲載させていただきます。
abeaさんの書き込みより
・ビースティのSabotageにおいて、MTV放映時は人が飛び降りるカットだったがDVDでは車のカットに挿し変わっている.日本用に編集したのかスパイクが編集しなおしたは不明。
・DVDを日本版にするにあたって、海外から支給された素材がいいかげんだったために、編集し直す手間が発生したので発売が遅れたらしい。
ポコペンさんの書き込みより
・「永遠の12才」でミシェルとお母様が普通に会話しているところが逆チャンネルになっている
Posted by でどちん at 2004年03月10日 17:51 | TrackBack


